こんにちは、Access歴30年超のなかぜんです。
今回は、業務での処理速度に悩むあなたに向けて「テンポラリーテーブル(一時テーブル)」を使った高速化のコツを解説します。
処理が遅い…その原因、クエリの作りすぎかも?
Accessでデータ分析や加工を行うとき、「クエリのクエリ」「そのまたクエリ」…と複雑な構成になってしまうこと、ありますよね。
これが積み重なると、実行時に毎回同じデータを再計算してしまい、結果として処理が非常に重くなります。
そこで活躍するのが、テンポラリーテーブル。一時的に加工済みデータを格納し、それを元にレポートや集計を行うことで、パフォーマンスが大きく向上します。
テンポラリーテーブルって何?
テンポラリーテーブルとは、文字通り「一時的に使うためのテーブル」です。
基本的にはフォームを開いたときや処理の直前にデータを作成・格納し、処理が終われば削除、もしくは内容を初期化します。
メリット
- クエリの再計算を防げる
- 集計結果をキャッシュできる
- 複数のユーザーが同時に操作しても安定
【実例】VBAでテンポラリーテーブルを作成して活用する
では実際に、テンポラリーテーブルをVBAで作って使う流れを見てみましょう。
ステップ1:テーブル作成
' T_仮売上データ テーブルを一時作成する
CurrentDb.Execute "DELETE FROM T_仮売上データ", dbFailOnError
CurrentDb.Execute _
"INSERT INTO T_仮売上データ (売上日, 顧客ID, 金額) " & _
"SELECT 売上日, 顧客ID, 金額 FROM T_売上 " & _
"WHERE 売上日 BETWEEN #2024/01/01# AND #2024/12/31#", dbFailOnError
解説:
事前にT_仮売上データというテーブルを空にし、対象期間の売上をコピーしています。
これで以降の処理はT_仮売上データだけを参照すればOKです。
ステップ2:集計クエリを作成して効率化
SELECT 顧客ID, Sum(金額) AS 合計金額
FROM T_仮売上データ
GROUP BY 顧客ID;
このようにテンポラリーテーブルに絞った集計は、高速かつ安定して動作します。
よくあるミスと注意点
- 元テーブルのロック:大量データを直接操作すると排他ロックの原因に
- テンポラリーテーブルを削除し忘れ:フォーム閉じるときに必ず削除またはクリア処理を入れましょう
- インデックス未設定:必要に応じて主キーやインデックスをつけることで検索も高速化
応用編:ユーザーごとのテンポラリーテーブル
ネットワーク環境で複数人が同時利用する場合、テンポラリーテーブルをユーザー別に分けることでデータ干渉を防げます。
例:ログインユーザー名を使った一時テーブル名
Dim userName As String
userName = Environ("USERNAME")
Dim tempTableName As String
tempTableName = "T_仮売上_" & userName
こうすることで、各ユーザーが同時に自分専用のテーブルを持つことができ、快適に使えます。
まとめ:テンポラリーテーブルは業務Accessの高速化の鍵!
Accessで業務システムを構築していると、ついつい複雑なクエリ構成になりがちですが、テンポラリーテーブルを導入するだけで劇的に快適さが変わります。
なかぜんからのアドバイスは、「定期的に処理の見直しを!」。テンポラリーテーブルを活用することで、クエリの再利用性や保守性も高まります。
次におすすめの記事
ぜひ、あなたのAccessシステムにもテンポラリーテーブルを取り入れて、業務効率をぐっと高めていきましょう!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
