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VBAモジュール分割の戦略と実践

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こんにちは、なかぜんです。
「プロジェクトが巨大になってきて、どこに何があるか分からない…」「コードは書いたけれど、修正や共有でエラーが怖い」というお悩みを感じたことはありませんか?上級者になればなるほど、プロジェクトの整理術が鍵。今回は、VBAでのモジュール分割の戦略と、実務で役立つ実践例を、やさしく丁寧にご紹介します。
可読性が上がりメンテしやすく、自分以外の人も扱いやすい!そんな未来を一緒に目指しましょう。

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1. なぜモジュール分割が重要?

まず、モジュール分割のメリットを再確認しましょう。

  • コードの見通しがよくなる(可読性アップ)
  • 関数・サブルーチンの再利用がしやすい
  • 修正範囲が限定され、テストや保守が容易になる
  • チームでの分業がスムーズになる

2. 分割の戦略:どんな軸で分ける?

2‑1. 機能別(Functional Separation)

例:データ取得/画面更新/ファイル入出力など、大きな機能単位で分ける方法です。

2‑2. レイヤー別(Layered Separation)

例:UI層/ビジネスロジック層/データアクセス層のように、役割ごとにレイヤーを設定。

2‑3. 表記別(Naming-Based Separation)

例:modMain, modUtils, modIO のようにモジュール名で役割を明示することで整理が効くパターン。

3. 実際のコード例(画面イメージ付き)

ここでは簡単な例として、Excel上でCSV読み込み→書き込み→処理を行う構成を紹介します。

コード例:モジュール分割

' --- modFileIO.bas ---
Option Explicit

Public Function ReadCSV(filePath As String) As Variant
    ' CSVから2次元配列で読み込む(ダミー例)
    Dim arr As Variant
    ' 実際はファイルI/O処理…
    arr = Array(Array("A", "B"), Array("C", "D"))
    ReadCSV = arr
End Function

Public Sub WriteCSV(filePath As String, data As Variant)
    ' dataをCSV形式で書き出す(ダミー例)
    ' 実際はファイルI/O処理…
    Debug.Print "Writing CSV to " & filePath
End Sub

解説:
このモジュールはファイル入出力に特化。引数と返り値で依存を最小化しています。

' --- modProcessor.bas ---
Option Explicit

Public Function ProcessData(data As Variant) As Variant
    ' データを加工する例:2次元配列をそのまま返すだけ
    ProcessData = data
End Function

解説:
こちらはロジック処理担当のコード。ファイルI/Oの詳細は知らずにデータを扱えます。

' --- modMain.bas ---
Option Explicit

Public Sub Main()
    Dim data As Variant
    data = ReadCSV("input.csv")          ' ファイル読み込み
    data = ProcessData(data)             ' データ処理
    WriteCSV "output.csv", data          ' ファイル書き出し
    MsgBox "完了しました!", vbInformation
End Sub

解説:
メインの処理は極力シンプルに。処理の流れが一目瞭然です。

4. 注意点やよくあるミス

  • 過剰分割:モジュールが細かくなりすぎてかえって管理しにくくなるケース。
  • 依存の乱立:A→B、B→C、C→Aのような循環参照は避けるべきです。
  • 命名のあいまいさ:mod1, mod2…では何も分かりません。目的が伝わる名前を。
  • グローバル変数の濫用:とくに状態なしモジュールにはグローバルを使わず、引数で受け渡しを。

5. 応用ポイント

  • ユーティリティ共通化:共通で使う汎用関数を modUtils にまとめておく。
  • バージョン管理対応:モジュールごとに分ければ、差分管理がしやすくなります。
  • テストモジュール化:ユニットテスト用のテストSubを modTest にまとめると自動テスト化が容易。
  • コードテンプレート構成:プロジェクト開始時にモジュール構成の「ひな型」を用意しておくと初期構築がスムーズ。

6. まとめ

今回学んだことを振り返りましょう:

  • モジュール分割の目的:可読性・保守性・再利用性の向上
  • 分割戦略は「機能」「レイヤー」「命名」による適切な切り分け
  • コード例では、ファイルI/O/処理/メインを明確に分離
  • 注意点として「過剰分割」「循環参照」「あいまい命名」「グローバル濫用」を確認
  • 応用では「共通ユーティリティ」「バージョン管理」「テスト用モジュール」「テンプレート構成」が効果的

次のステップとしては、現在のプロジェクトにこの構成を当てはめて、小さなモジュール分割から試してみましょう。そして段階的に整理を進めて、「いつでも読める・直せるコード」を目指してくださいね。

なかぜんでした。お読みいただき、ありがとうございました!