「Accessを複数人で同時に使っていたら、データが消えた…」「誰かがフォームを開いてて編集できない…」
そんな経験、ありませんか?
Accessは1人で使うにはとても便利ですが、複数人運用になると、いろいろなトラブルが発生しやすくなります。
でもご安心ください! この記事では、よくあるトラブルとその回避法を、やさしく丁寧に解説していきます。
1. 複数人運用でよくあるトラブルとは?
1-1. 競合エラー(同時編集の衝突)
2人以上が同じレコードを編集すると、Accessは「どちらを保存すべきか分からない」状態になります。これが競合エラーです。
1-2. ファイルロックによる編集制限
ファイルがロックされると、他の人が読み取り専用でしか開けなくなる場合があります。
これは主に「フロントエンド/バックエンド分離」がされていない場合に起こります。
1-3. フォーム設計ミスでのデータ上書き
複数人が同じ画面を同時に使うと、VBAやマクロの処理によって意図しない上書きや削除が発生することもあります。
2. トラブル回避の基本対策
2-1. フロントエンド/バックエンド分離
まずはこれが基本です!
- バックエンド(BE):テーブルだけを格納するDB
- フロントエンド(FE):フォーム・クエリ・レポート・VBAなど
全ユーザーが共有フォルダにあるBEを参照し、それぞれのPCにFEを配置する構成にすることで、データの衝突やロック問題を大幅に減らせます。
2-2. テーブルレベルでのロック設定
「ツール」→「オプション」→「詳細設定」からレコードレベルロックを有効にすると、同じテーブルの他レコードは編集できるようになります。
2-3. VBAでの排他制御
たとえば、「このレコードを誰かが編集中か確認して、編集中ならアラートを出す」などの処理が可能です。
' 編集チェック処理(例)
If Me.Dirty Then
MsgBox "他のユーザーが編集中です。処理を中止します。", vbExclamation
Cancel = True
End If
解説:Me.Dirtyは、現在のレコードが未保存(編集中)かどうかを判定できます。Cancel = Trueで保存処理をキャンセルしています。
3. 注意点とよくあるミス
3-1. BEファイルを間違って直接開く
バックエンド(データ専用ファイル)を直接開いて編集してしまうと、共有運用の意味がありません。
BEはユーザーに見せない場所に置くか、パスワードロックを検討しましょう。
3-2. ネットワーク共有の速度問題
Accessはネットワーク経由だと遅延が発生しやすいため、ギガビットLANなど高速ネットワークを推奨します。
4. 中級者向け:ログ記録で安心運用
4-1. 更新ログを残す仕組みを作る
複数人で使う場合、「誰が・いつ・どのレコードを」更新したか記録しておくと安心です。
以下は更新時にログテーブルへ記録するVBAの一例です。
Private Sub Form_BeforeUpdate(Cancel As Integer)
CurrentDb.Execute "INSERT INTO T_更新ログ (レコードID, 更新者, 更新日時) VALUES (" & Me.ID & ", '" & Environ("USERNAME") & "', Now())"
End Sub
解説:更新直前に、ログテーブルへレコードIDとユーザー名、更新時刻を記録しています。
5. まとめ:できることから始めてみよう!
今回は、Accessを複数人で使うときにありがちなトラブルとその回避法についてお話ししました。
- Accessはフロントエンド/バックエンド分離で安定性がアップ
- ロックや競合への理解がトラブル回避の第一歩
- VBAやログ管理でさらに安全・快適な運用が可能
「これなら自分にもできそう!」と思ったら、ぜひ一度、実務環境で試してみてくださいね。
以上、なかぜんでした!
