Accessで分割データベース(フロントエンド/バックエンド構成)を使っていると、こんな悩みはありませんか?
- ネットワーク越しのレスポンスが遅く、待ち時間が長い
- 複数人が同時に使うと操作がカクつく
- ときどき「応答なし」になる
こうした問題、実は「ちょっとした工夫」で大きく改善できるんです!
今回は、Accessの分割構成におけるパフォーマンス改善策を、実際のコード例を交えながらご紹介します。
分割DBの基本構成をおさらい
Accessでは、以下のようにデータベースを分けることで運用を効率化できます。
- フロントエンド:フォーム、クエリ、レポート、VBAロジックなど
- バックエンド:テーブル(データのみ)
フロントエンドは各ユーザーのPCに配布し、バックエンドはネットワーク共有フォルダに置くのが一般的です。
パフォーマンス改善策①:リンクテーブルを明示的に開く
Accessでは最初にリンクテーブルへアクセスした瞬間にネットワーク越しの通信が発生します。これをあらかじめ意図的にトリガーしておくことで、「最初の待ち時間」を感じさせない工夫ができます。
▼VBAコード例:起動時にテーブル接続をウォームアップ
Public Sub WarmUpLinkedTables()
Dim rs As DAO.Recordset
On Error Resume Next
' ネットワーク先の1レコードだけ参照して接続を確立
Set rs = CurrentDb.OpenRecordset("SELECT TOP 1 * FROM T_受注", dbOpenSnapshot)
rs.Close
Set rs = Nothing
End Sub
解説:
このサブルーチンを、スタートアップフォームの Form_Load
イベントなどに仕込んでおくと、ユーザーが何か操作する前にリンクテーブルの接続を済ませられます。
パフォーマンス改善策②:フォームのレコード取得を制限する
フォームを開いたとき、すべてのレコードを読み込もうとするとそれだけでネットワーク負荷が高まります。
▼VBAコード例:条件付きで開く
Private Sub Form_Open(Cancel As Integer)
Me.Filter = "ステータス = '処理中'"
Me.FilterOn = True
End Sub
解説:
このように初期表示を絞り込むだけでも、体感速度が変わってきます。
パフォーマンス改善策③:クエリ実行のタイミングを見直す
重たいクエリをフォームに直接バインドせず、VBAからコントロールして実行タイミングを工夫しましょう。
▼例:レコードセットを一括で読み込む
Dim rs As DAO.Recordset
Set rs = CurrentDb.OpenRecordset("SELECT * FROM Q_重たいクエリ", dbOpenSnapshot)
' データを配列に格納して画面表示処理へ
DAOのSnapshot型を使うことで読み込み専用となり、ネットワークトラフィックが軽減されます。
よくあるミスと注意点
- フォームがテーブル直結のまま:すべてのレコードが無条件で取得されます
- リンク切れ:リンク先フォルダ構成が変更されると動かなくなります
- 一時テーブルの多用:ローカルで完結しないと逆に遅くなることも
パフォーマンスのチューニングには、「なぜ遅いか?」を見極める視点が大切です。
応用ポイント:ローカル一時テーブルを使う
集計処理や参照系のクエリで時間がかかる場合、結果をローカルの一時テーブルに一度書き込むことで、後続処理がサクサク動くようになります。
▼一時テーブル作成の例
DoCmd.RunSQL "DELETE FROM T_一時結果"
DoCmd.RunSQL "INSERT INTO T_一時結果 SELECT * FROM Q_重たいクエリ"
注意: マルチユーザー環境ではユーザー毎にローカル一時テーブルを用意する工夫が必要です。
まとめ:ネットワーク越しでも快適なAccessを目指して
この記事では、Access分割DB構成のネットワークパフォーマンスを改善するための具体的な手法をご紹介しました。
- 起動時にテーブル接続を確立する
- フォームの初期表示を絞る
- クエリの実行タイミングを見直す
- 一時テーブルで負荷を回避
ちょっとした工夫で「サクサク動くAccess」に変えることができます。
ぜひあなたの環境でも取り入れてみてくださいね。
次のステップ案内
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
また次回の記事でお会いしましょう。
