こんにちは、業務アプリ開発の案内人・なかぜんです。
「Accessがこのままで大丈夫なのか…?」「クラウドに対応したほうがいい?」
最近、そんな不安や相談をよく耳にします。特にMicrosoftのDataverseが注目されるようになってきたことで、「Accessの代替になるの?」「それとも連携すべき?」という声も増えてきました。
今回は、Access上級者のあなたに向けて、Dataverseとの連携方法と代替手段としての評価をやさしく、でもしっかり解説していきます。
Dataverseとは何か?Accessとの違いを整理
Dataverseの基本
Dataverseは、Power Platform(Power Apps, Power Automateなど)と連携するためのクラウドベースのデータベースです。SharePointやExcelよりも構造的な制約が強く、Accessに近いテーブル設計が可能です。
Accessとの主な違い
- 保存場所:Accessはローカル or ネットワーク共有、Dataverseはクラウド(Microsoft 365)
- 利用対象:AccessはWindows専用、DataverseはWeb+モバイル+Power Apps対応
- セキュリティ:DataverseはAzure ADと連携可能、きめ細やかな権限管理が可能
AccessとDataverseを連携する方法
AccessからDataverseに接続してみよう
Access(Microsoft 365)には「Dataverse テーブルにリンク」機能が搭載されています。
- Accessを開き、「外部データ」>「Dataverse」>「Dataverse テーブルにリンク」をクリック
- Microsoft アカウントでサインイン
- 対象のDataverse環境とテーブルを選択して「OK」
これで、AccessからDataverse上のテーブルをリンクテーブルとして利用可能になります。
VBAコードでのデータ追加例
' Dataverseの「顧客」テーブルにレコードを追加
Dim db As DAO.Database
Set db = CurrentDb
db.Execute "INSERT INTO 顧客 (氏名, メールアドレス) " & _
"VALUES ('山田太郎', 'yamada@example.com')"
ポイント解説:Dataverseのテーブルもリンクテーブルなので、SQLの構文は通常のINSERTで問題ありません。
ただし、テーブルによっては「選択肢型」など特殊な列があり、値の形式に注意が必要です。
よくある注意点とハマりポイント
- パフォーマンスが落ちる:大量データの読み書きは遅延しやすい(キャッシュが効かない)
- 選択肢列・ルックアップ列:数値コードやJSON形式で扱われることがあり、VBAからの処理が複雑
- 同期エラー:Accessでの変更がDataverseに反映されない場合、再リンクが必要
このあたりは従来のAccessでは経験しない部分なので、事前検証やテストが重要です。
Dataverseは代替になる?それとも連携で活かす?
【代替】として考えるとき
- Power Apps中心のアプリに切り替えたい
- 多人数でWeb・モバイルから利用したい
- セキュリティをクラウドベースで一元化したい
【連携】として活かすとき
- Accessのフォーム・レポート資産を活かしたい
- 社内でデスクトップ環境がメイン
- 段階的にクラウド対応したい(ハイブリッド戦略)
業務で活かす応用アイデア
①Power Apps × Accessで二重UI
入力はPower Apps(スマホ対応)、集計や帳票出力はAccessで行うという分担設計がおすすめです。
②AccessからPower Automateのトリガー
Dataverse経由でデータが入れば、Power AutomateでTeams通知やメール送信も自動化できます。
' AccessからDataverseに書き込んで、Power Automateを動かす
' → Teamsに自動投稿されるフローなどと組み合わせ可能
まとめ:Accessユーザーこそ、Dataverseを使ってみよう
今回の記事では、AccessとDataverseの違い、連携方法、使い分けの判断軸について紹介しました。
AccessユーザーにとってDataverseは「敵」ではなく、むしろ新しい力を与えてくれる存在です。
いきなり移行するのではなく、まずは連携から小さく始めてみましょう!
✅次のステップ
- Microsoft 365のAccessで「Dataverseリンク」を試してみる
- Power Appsで簡単な入力アプリを作ってみる
- AccessとPower Platformのハイブリッド活用を社内に提案
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
