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複数人開発におけるAccess管理の勘所

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Access
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こんにちは、なかぜんです。
Accessは中小規模の業務アプリ開発にとても便利なツールですが、「複数人で開発」しようとすると一気に難易度が上がります。
「あれ?誰が最新のフォームを更新した?」「マクロが消えてる…」など、よくあるトラブルに悩まされた経験はありませんか?
今回は、そんな複数人開発の現場で押さえておきたい“管理の勘所”を、実務的な視点から解説していきます。

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Accessの複数人開発でよくある課題

  • 同じオブジェクトの編集による衝突
  • ソース管理が難しい(バイナリ形式のため差分管理が困難)
  • 環境依存(参照設定や外部リンクのズレ)
  • 配布・更新作業の手間

管理を安定させるための基本方針

1. 分割設計(フロントエンド/バックエンド)

まず必須なのが、テーブルを含む「バックエンド」と、フォーム・レポート・マクロ・VBAコードを含む「フロントエンド」を分割することです。
これにより、バックエンドは共通DBとしてサーバーに置き、フロントエンドは各開発者のローカルPCで編集可能になります。

' 分割後にフロントエンドでリンクテーブルを設定
DoCmd.TransferDatabase acLink, "Microsoft Access", _
    "\\server\share\Backend.accdb", acTable, "T_顧客", "T_顧客"

上記は、サーバー上のバックエンドにある「T_顧客」テーブルをリンクするVBA例です。
この方法で、テーブル構造は共有しつつ、フォームなどは個別に作業できます。

2. オブジェクトのエクスポート管理

AccessはGitなどのバージョン管理が難しいため、VBAコードやフォーム定義をテキストとしてエクスポートする仕組みを導入すると効果的です。
たとえば、次のようなVBAスクリプトでモジュールをテキスト出力できます。

' 全モジュールをテキストファイルにエクスポート
Public Sub ExportModules()
    Dim obj As AccessObject
    Dim path As String
    path = "C:\AccessExport\"

    For Each obj In CurrentProject.AllModules
        Application.SaveAsText acModule, obj.Name, path & obj.Name & ".txt"
    Next
End Sub

こうして出力したテキストはGitで差分管理可能になります。

3. 命名規則と作業ルールの統一

オブジェクト名(テーブルは「T_」、クエリは「Q_」など)や、コードのインデント・コメントスタイルを統一しておくと、後から誰が見てもわかりやすくなります。

よくあるミスと回避方法

  • ミス:他人の変更を上書き → 対策:編集前に必ず最新ファイルを取得
  • ミス:参照設定のずれ → 対策:共通パス&共通バージョンのDLLを使用
  • ミス:配布時のリンク切れ → 対策:起動時にリンクテーブルを自動再接続するコードを実装

応用ポイント

さらにチーム開発を安定させたい場合は、次のような方法もあります。

  • Access Runtime環境での動作確認を並行実施
  • 開発用バックエンドと本番バックエンドを明確に分ける
  • フォームやレポートをXML形式でエクスポートし、差分比較ツールで確認
  • Accessをフロントに、SQL Serverをバックエンドに置き換えてスケーラビリティを確保

まとめ

複数人開発のAccessでは、分割設計・オブジェクトのテキスト管理・作業ルールの統一が基本です。
加えて、バージョン管理や参照設定の揃え方を工夫すれば、トラブルを大幅に減らせます。
まずは「分割」と「エクスポート管理」から始めて、徐々にチーム全体の開発体制を整えていきましょう。
なかぜんでした!